りらいあコミュニケーションズの2022年3月期第3四半期の決算からみるコールセンター業界の現状|コールセンター業界動向レポ(No.3)
今回は2月4日に、コールセンター大手のりらいあコミュニケーションズ(旧もしもしホットライン)が2022年3月期第3四半期(2021年4月1日~12月31日)の決算を発表しましたので、その決算短信の資料の内容を簡単に紹介をしながら、コールセンター業界の現状についてみていきます。
なお、ここではあくまでもこういった決算資料からコールセンター業界の現状を把握するとともに、コールセンター業界の将来性を考察していくことを目的にしているため、株価については一切言及はいたしません。
それでは、さっそく当該期間における売上高、営業利益、経常利益、当期純利益の4項目について、対前年同四半期と比較しながら見てみると、売上高は前年の932.23億円から-6.9%となる867.98億円、営業利益は前年の62.75億円から-19.2%となる50.68億円、経常利益も前年の64.27億円から-21.8%となる50.24億円、そして当期純利益も前年の43.78億円から-21.8%となる34.23億円でした。
昨年も第3四半期時点においては減収減益であったことから、2年連続で減収減益になっているという状況ですが、今期に関しては昨年以上に減収減益率が拡大しています。
では、次に減収減益率が拡大している要因をセグメント別の業績とともにみていくと、同社の主力事業であるコンタクトセンター事業(コンタクトセンターの企画・設計・運用)については、売上高は前年同期比で-2.9%となる750.48億円、セグメント利益は同-1.6%となる39.06億円で、微減収微減益とはなりましたが、それほど変化はありませんでした。
ちなみに同決算資料では、その詳細について、品質管理や情報セキュリティの強化などで販売費及び一般管理費が増加したほか、国内では既存の一部の業務が終了及び縮小したとある一方で、第3四半期(2021年10月以降)に入ってからは一部で拡大の動きが見られ、スポット業務に関しては、社会イベントに伴う受注が増え、前年同四半期を上回ったと書かれています。さらに海外では、前年同四半期では、新型コロナウイルスの影響で稼働率が大きく低下をしていたが、在宅オペレーションの定着などもあり、新型コロナウイルス流行前の水準にまで回復した他、北米向けの堅調な需要も取り込んだのことです。
コンタクトセンター事業以外については、バックオフィス事業(ドキュメントマネージドサービス、コーポレートシェアードサービス、Webサイト、SNS関連サービスなど)は、スポット業務の減少、官公庁向けの一部業務の終了などによって、売上高が前年同期比で-8.9%となる117.26億円、セグメント利益が同-41.9%となる11.61億円で、減収大幅減益でした。
そのほか、これまでフィールドオペレーション事業として報告していた部分については、同事業を主力事業としていた株式会社アイヴィジットの全株式を譲渡したため、同事業の売上高は前年同期比で-99.2%となる2千3百万円、セグメント利益は同-99.9%となる0百万円でした。
このように、企業全体では確かに減収2桁減益となってはいますが、コールセンター関連のコンタクトセンター事業に関しては、前述の通り、前年と比較しても微減収微減益とそれほど変化はなく、他のセグメントの業績が減収2桁減益の大きな要因でした。
つまり、りらいあコミュニケーションズの決算資料を見る限り、コールセンターに対する需要も存在し、現時点では、過度にコールセンター業界を憂う必要はないことが分かります。
しかも、海外でみられたように、在宅オペレーションの定着などによって、新型コロナウイルス流行前の稼働率にまで戻ったということであれば、在宅コールセンターという新しいスタイルが確立されつつあるといえ、コールセンター業界、さらにはその業界で働く方々にとっては新たな選択肢が生まれることを意味するので、明るい兆しといえるのではないでしょうか。